桃農家になるには?

桃農家になるには、いくつか方法があります。1つ目は、家業を継ぐ形で就農する方法。2つ目は、各農家の出している求人に応募する方法。そして3つ目は、独立して新規就農する方法です。

もちろん、家業の手伝いや農家のアルバイトからはじめて、行く行くは独立するなど、桃農家への道のりは人それぞれ。いずれの場合も特別な学歴や資格は必要なく、農地と桃栽培の知識や技術があれば誰でも桃農家になることができます。

桃栽培の知識や技術は、農業高校や専門学校などで学べますが、社会人になってから学びたいという人は、新規就農相談センターが実施する研修を受講して身に付けることもできますよ。

桃農家になるメリット・デメリットは?

桃農家になると、どんなメリットやデメリットがあるのか、気になる人もいますよね。では具体的なメリット、デメリットをそれぞれ見ていきましょう!

【メリット】

・一生ものの知識と技術が身に付く

・自然に囲まれて仕事ができる

・少ない作業量で一定の収入が見込める

【デメリット】

・体力が必要

・天候によって仕事量や収入が左右される

・新しい知識を学び実践し続ける必要がある

まずメリットについてですが、農家は毎日の作業を通して一生ものの知識と技術を身に付けることができ、生涯農業を続けたい人にとってやりがいのある仕事です。また桃は、比較的少ない作業量で育つ果物なので、兼業や規模の拡大も検討しやすいといえます。

一方、桃農家にはデメリットもあります。農業は桃に限らず体力勝負です。農作物だけではなく、自身の健康管理にも十分注意が必要です。また桃はデリケートで、天候によって収穫量や品質が左右されやすい傾向にあります。この問題点を解消するためにも、育てやすさや品質を担保する手段を試行錯誤し続ける必要があります。

桃農家の年収は?

ここからは気になる桃農家の収入について紹介します。農林水産省の発表しているデータによれば、桃農家の年収は平均122万5000円でした。この額は粗利243万9000円から経費121万4000円を差し引いたもので、他の果物農家と比較すると桃農家の所得率は以下のような水準となります。

【果樹農家 1戸当たり農業所得・所得率・植栽面積】農業所得農業所得率植栽面積

122.5万円

50.2%

43a

りんご

184.2万円

43.8%

102a

214.1万円

45.2%

80a

桃の所得率は約50%と、りんごや梨に比べ高水準であることが分かります。またこの統計では桃の栽培面積は平均43aと最も狭く、栽培規模を拡大すれば、さらに収益を伸ばすことができそうですね。

桃農家の初期費用は?

桃農家として新規就農するには、初期費用が必要になります。初期費用の中には、ハウス設備や軽トラ、草刈り機などが含まれます。

桃農家になるには、一体どれくらいの金額が必要なのか、具体的に見ていきましょう!

年間で必要な資金目安

桃などの果樹栽培にかかる初期費用の目安は、平均360万円程。これは他の農作物や酪農に比べると安いといえます。

また就農1年目にかかる費用の目安は、営農面で200万円前後、生活面で150万円前後といわれています。このため家業を継ぐ場合を除いて、新規就農する際には最低でも300万円~400万円程度の自己資金を準備しておくと良いでしょう。

自分で初期費用が準備しきれない場合は?

とはいえ、実際に収益化できるまでの生活を考えると、自己資金のみではじめるのは厳しい場合もありますよね。そんなときは、自治体の補助制度や給付金を活用しましょう。例として、無利子で資金を借りられる「就農支援基金」や、一定の条件を満たせば最大5年間、毎年150万円の給付金が受け取れる「農業次世代人材投資資金」があります。各機関の条件や金額は、早めにチェックしておくと良いですよ。

桃農家の仕事内容は?

桃農家の仕事は、決して楽ではありません。しかし実際どれくらい大変なのか、イメージがつき辛いところもありますよね。

そこでここからは、桃農家の労働時間や1日のタイムスケジュールについて、詳しく解説します。

桃農家に求められること

どんな職業でも、その仕事に必要な能力や素質が求められますよね。まずは桃農家に求められること、向いている人の特徴について見ていきましょう。

・市場価値を見極め計画的に栽培する

・収穫時期に必要な人手を集める

・新しい知識や技術を学び続け実践する

桃には多種多様な品種があり、時期や産地ごとに主力となる品種は異なります。そのため桃品種の市場価値は時期によって上下しやすく、計画的に栽培していかなければ収入が低迷してしまいます。需要が多い時期や、ライバル県の主力品種が出回る時期などによって、収穫量を調整する計画性は、桃農家にとって重要な素質といえます。

また桃栽培では、収穫作業に最も人手が必要になります。せっかく育てた桃も、収穫が間に合わなければ過熟となり出荷できなくなってしまいます。一人で収穫できる量には限界があり、収穫量は桃農家の収入に直結するため、そこに人を投入できる体制や人脈を持つことも大切です。

さらに桃は近年、どんどん新しい品種が誕生していて、どの生産者も品質向上に努めています。優良農家を目指すなら、変化していく桃栽培の技術を学び、実践していく姿勢も必要です。

他の農家に比べて労働時間は長い?短い?

桃の年間労働時間は、1223時間程度です。桃は他の果物と比べて、少ない作業量で育ちます。その分、年間の労働時間も比較的短くて済むわけです。他の果物との労働時間の差を詳しくみてみましょう。

【主な果樹の年間労働時間】1戸あたり10a当たり

1,223時間

284時間

りんご

2,781時間

273時間

2,923時間

367時間

表で分かる通り、りんごや梨に比べ桃の年間労働時間は半分以下です。そんな桃栽培の中でも時間がかかる作業は授粉や摘果で、年間340時間程かかるといわれています。

1日のタイムスケジュール

桃農家の1日とはどんなものなのか、気になりますよね。農作業は1日どれくらいやっているのか、家事はいつやるのかなど桃農家の1日のスケジュール例を見てみましょう。

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桃に限らず農家の朝は早いです。早朝から起きて朝食の準備や家事をこなし、その後午前中から夕方までは農作業をしているようです。

また自家通販や直売メールの対応も、農家にとって大切な仕事。市場への販売だけでなく、直接購入してくれるお客様を増やすことができれば、より効率よく収入アップを目指せますよ。

桃農家の1年間のスケジュールは?

桃農家の作業内容は、季節によって異なります。作業内容によって、短時間で済むものもあれば、長時間かかるものもあります。

ここからは桃農家には1年を通してどんな農作業があるのか、具体的に紹介します。

桃(時期)|桃(作業内容) 開花時期|摘蕾・人工授粉

桃農家の春は、摘蕾という余分な蕾を摘み取る作業からはじまります。実として残す蕾を慎重に見分けながら摘み取るため神経を使い、細かい作業の繰り返しで忍耐力も要します。

産地や品種によってややバラつきはありますが、摘蕾は概ね3月から開始し、ひと月程かけて行います。4月に入ると、人工授粉や薬剤散布などの作業が待っていますので、それまでには摘蕾を完了させておきたいところです。摘蕾が完了したら、2~3回に分けて人工授粉を行います。

収穫前|摘果・薬剤散布

花が散って10日後あたりから、最初の摘果がはじまります。この摘果は予備摘果と呼ばれ、最終的に収穫する実を残し、日の当たらない場所になっている実や形の悪い実をあらかじめ取っておく作業のことです。

5月、6月は夏本番の収穫に向けて仕上げ摘果を行います。予備摘果が終わって2週間後から硬核期直前まで仕上げ摘果を、硬核期が終わったら収穫直前までさらに2~3回、最後の摘果を行います。農家によっては袋掛けや支え棒を設置する作業もあります。またこの時期から収穫まで、10日おきに薬剤散布も行います。3~5月はアブラムシやカイガラムシが出やすい時期なので、特に注意が必要です。

収穫時期|収穫・出荷

7月に入ると、いよいよ収穫がはじまります。収穫の最盛期は7月中旬~8月上旬頃まで。この時期には暑さが本格化し、日差しも強いため体力との戦いです。

そうして収穫した桃を出荷するのも大切な仕事。収穫した桃は、生産者自らトラックで共撰所や農協に運びます。その後、品質ごとに厳しく選別され、やっと市場へと出荷されます。

収穫後|礼肥・剪定

無事に収穫を終え9月に入ると、台風の時期に合わせた薬剤の散布と、秋の剪定を行います。このときに、病気になった枝が見つかった場合は切り落としておきましょう。

10月には、夏の収穫のお礼として礼肥を与えます。この時期に肥料を与えることで、来年も元気に桃の実をつけてくれるといわれています。

12月~2月までの冬の時期は、晴れた日に冬剪定を行います。この時期の桃の木は休息期間なので、やり過ぎる必要はなく、のんびりと行いましょう。この3カ月間は桃農家のオフシーズン。来年の実りに向けて肥料や土壌の改良、確定申告の準備をしておくなども大切な仕事です。

【参考サイト】

農林水産省「平成19年度品目別経営統計農業経営の概況・農業経営収支(1戸当たり)」


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