ビワは高木化するため、植えるときはスペースに注意しましょう。排水の良い土壌が適していて、-3℃を下回ると枯死する可能性があるため、排水性が良く凍害を受けにくい傾斜地などが適しているとされています。
たくさん薬剤散布したり細やかな剪定(せんてい)が求められたりする果樹ではないため、興味がある人は気軽に試してみてください。
以下、栽培カレンダーに沿って家庭果樹向けに解説します。
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ビワの植え付け
ビワは常緑果樹で、真冬の植え付け・植え替えは大きなダメージを受けてしまいます。3月の暖かくなった頃におこないます。
2月のまだ寒い時期にできるだけ大きな穴を掘って堆肥(たいひ)20リットルと苦土石灰を200グラム程度よく混ぜて土づくりをしておくとよいでしょう。植え付ける際に有機配合肥料を300グラム程度混ぜて、できるだけ苗の根を広げて配置し、深植えしないように気をつけましょう。
植え付けた後は、土と根が密着するようにたっぷり水を与えます。
ビワの種とり
ビワを食べ終わった後の大きな種は、そのまま5月に地面に植えても、水やりを続けていれば発芽してきます。表面の茶色い薄皮は手でむいて植え付けるとよいでしょう。
また、筆者はビワの種を焼酎漬けしたものを、虫に刺された箇所に塗っています。具体的な効果は薬事法の関係もあり言及は避けますが、夏場に虫に刺されると、市販の薬をかき分けて漬けておいたビワ酒を探してしまいます。
ビワの剪定
筆者はビワの木がきっちり細かく仕立てられたものを見たことがあまりありません。半放任で、高くなりすぎないように、木の内部にチラチラと光がさす程度に枝を間引く程度でも問題ないでしょう。
むしろ、切りすぎて大きな切り口をつくると「がんしゅ病」というビワの大敵の病気に感染してしまう確率が高くなりますので、高く立ち上がり気味の枝は、まだ枝が細いうちから間引いておくのがよいでしょう。
時期は収穫後〜9月くらいの、猛暑が収まり、涼しくなってきた頃までが一般的ですが、産地によっては4月の春におこなうなど、バラバラです。
ビワの肥料
元肥となるメインの肥料散布時期は、剪定と同時の9月におこないます。これからどんどん花が咲いていく時期で、タイミングが遅いと春に落果するものが多くなるので遅れすぎないようにしましょう。市販の有機配合肥料を1樹あたり3キロ程度散布します。幼木の小さいものには1キロ程度、大木には5キロほどと、大きさによって調整しましょう。
たくさん果実がなった年には、木が疲れているので、お礼肥(おれいごえ、おれいひ)として元肥の3分の1の量を6月上旬に施肥します。
ビワの摘房
ビワは1カ所に大量の花をつけます。そのまま放置していても立派なビワは収穫できないため、数を減らすための摘果作業はビワ栽培において大変重要な作業です。
一番重要なのは、開花時期前の10~11月におこなう摘房という粗摘果作業です。摘蕾(てきらい)とも言われますが、つぼみの段階で先に数を減らしておくことが大切です。
販売用のビワをつくるのであれば細やかに調整して残すべきつぼみを選別するのですが、家庭果樹ではそこまでせずに、房の根元と先端を手で引きちぎってしまい(簡単に外れます)、中段の3房だけを残しましょう。
半分近くなくなるので不安に思うかもしれませんが、これだけでも収穫できる果実がグッと大きく甘くなるので思い切って外しましょう。
ビワの摘果と袋かけ
3月~4月上旬にかけて、ビワの果実はどんどん成長していきます。
暖かくなって害虫も現れ始めるのでできるだけ早く袋かけをしてあげましょう。袋かけをする前に、まずは1カ所に3~4果実を目安に最終摘果をおこないます。
傷のないもの、形の良いものを選抜して残し、同時に袋をかけてしまうことで、あとは収穫を待つのみとなります。
ビワの病害虫
ビワによく発生する害虫は、ゾウムシとナシヒメシンクイです。とにかく袋かけを急ぐこと、どうしても大量発生してしまった時には殺虫剤の散布で抑えましょう。
最も頻発して相談件数が多いのはがんしゅ病です。感染してしまうと完全に治療するのが難しく、厄介な病気です。
感染すると、枝にコブができたり、果実や葉に黒い病斑があらわれます。発生箇所は切除して圃場(ほじょう)外に持ち出すことが重要です。
予防のためには、とにかく植物に傷をつけないように心がけること。どうしても傷がつく台風前や剪定後にはボルドー剤を散布することで予防できます。
以上がビワの栽培です。摘果時期を守っておいしいビワを収穫しましょう!
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