果 実

和菓子で使われる果実といえば、色々ありますが、中でも柿と栗は、和菓子にとって欠かせない果実です。

栗は、縄文時代から栽培されていた果実です。茶が伝来してから、茶の湯が行われるようになると、菓子(果物)は食後のデザートとして位置づけられていきますが、栗は、焼き栗や打栗として用いられます。栗の粉を甘味で練った団子状のもの、今の栗の茶巾絞りに似た菓子も登場します。

同じように、柿も古代から食べられている果実で、茶の湯の菓子としても用いられました。干すと保存ができる柿は重宝され、飢餓の折の非常食でもあり、貴重な甘味でもありました。また平安時代の「延喜式」には、祭礼用の菓子として記載されています。

その他にも、桃、梨、蜜柑、梅などは菓子として用いられ、現在でも形を模したり、香りを活かす工夫をして使われています。

また、萱、クルミ、栃などの木の実も忘れることはできません。とち餅という菓子は、いくつもの工程を経て栃の実のアクや苦みを抜き、蒸したもち米に混ぜてついた餅です。大変な手間をかけても自然の産物を利用し、おいしく食べようという先祖の知恵をうかがい知ることができます。


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