2019年11月22日 | 園芸・ガーデニング
【栄養たっぷり!】豆苗(とうみょう)の栽培方法やレシピをご紹介
スーパーなどでよく見かけるようになった「豆苗(とうみょう)」は、安くて栄養が豊富なだけでなく、栽培をすれば再び食べられる点が大きな魅力です。今回は、豆苗の基礎知識をはじめ、市販の豆苗とタネから育てる豆苗の栽培方法、さらに手軽でアレンジが効く豆苗のおすすめレシピをご紹介します。
この機会に豆苗の素晴らしさを再発見し、日々の食事やお弁当作りにぜひお役立てください。
そもそも豆苗とは
初めに、豆苗についての基礎知識をご紹介します。
豆苗の基礎知識
豆苗とは「エンドウ豆」の若い芽のことで、マメ科エンドウ属に分類されます。生長して花が咲いた後にできる若いサヤは「サヤエンドウ」、その後の生長したサヤは「スナップエンドウ」と呼ばれます。中の豆は「グリーンピース」として収穫でき、完熟の豆は「赤エンドウ」や「青エンドウ」として菓子などに使用されます。
豆苗の栄養価は非常に高く、骨の形成に関わるビタミンKの含有量が多いことが特長です。ビタミンB類はほかの野菜よりも豊富で、ビタミンAやC、葉酸も含まれます。室内で生産する豆苗は、農薬を使わない点も安心です。無農薬で栄養価が高い豆苗は、小鳥などのペットにも安心して与えられます。
豆苗として初めて食材にしたのは中国で、1970年代に日本へ伝わった当時は中華料理店でしか食べられない高価な野菜でした。1995年頃に国内で水耕栽培が始まり、技術の向上にともなって大量生産が可能になると、1年を通して安く流通するようになりました。
人気の秘密は手軽さ
豆苗を調理する際は軽い水洗いで済み、皮をむく手間や下ゆでの必要がありません。市販のパックの豆苗は、カットした部分から新しい芽が伸び、再び食べられる点も大きな魅力です。豆苗の水耕栽培は簡単で生育が早いことから、夏休みの自由研究にもおすすめです。
市販の豆苗を栽培する方法
それでは、市販のパックの豆苗の栽培についてご説明します。
カットをする場所
パックの豆苗を使用するときには、豆の上に生えた最初の葉である「脇芽(わきめ)」を2枚残してカットしましょう。その後、脇芽の上から次の茎がすくすくと伸びて、10日ほどで再び食べられる大きさに育ちます。再生の条件がそろえば、2回まで収穫ができます。
水やりのポイント
カットした豆苗はサイズが合う容器に移し、豆の下まで水を注いでください。豆が浸るまで水を入れると、腐敗して臭いが出ることがあります。水は毎日1~2回入れ替え、清潔な状態を保って育てましょう。肥料を加えた水は生育がよくなりますが、カビや藻(も)が発生しやすくなるので、あまりおすすめできません。
日当たりと置き場所
容器に移した豆苗は、日当たりのよい窓辺などに置くとバランスよく育ちます。ただし、真夏は直射日光が強すぎるので、レースのカーテンなどでさえぎってください。豆苗は屋外に置くと育ちすぎて茎が硬くなり、虫が付くことがあります。反対に、日が当たらない場所ではヒョロヒョロに伸びて葉が小さく育ちます。
おしゃれな容器で栽培
おしゃれな容器を使用すれば、豆苗はインテリアとしても育てられます。容器はきれいな皿や陶器などでもよいですが、牛乳パックやペットボトルなどをリメイクしたものもおすすめです。マスキングテープや包装紙、リボンなどの安く手に入る材料を用意し、楽しく飾りながら育ててみましょう。
豆苗をタネから育てる【水耕栽培】
初めて豆苗をタネから育てるときは、1年を通してタネまきができる水耕栽培をおすすめします。近年では、便利な水耕栽培用のキットも販売されています。
用意するもの
豆苗の水耕栽培で必要なものは、下記の通りです。
栽培の方法
豆苗の水耕栽培は、次のように管理します。
容器にスポンジまたはキッチンペーパーを敷き、全体が浸るまで水を注ぐタネは重ならないように並べる発芽するまでは暗い場所に置き、霧吹きで湿らせて20~25度くらいを保つ発芽したら直接水を注いで管理し、1日1回水を入れ替える5cmくらいに伸びたら、窓越しの日光を当てる1週間から10日ほど経ったら収穫する豆苗をタネから育てる【土で栽培】
慣れてきたら土で栽培し、サヤエンドウやスナップエンドウも楽しんでみましょう。
用意するもの
豆苗を土で栽培するときには、下記のものを準備してください。
栽培のポイント4つ
土の栽培では、次のポイントを押さえてから取りかかりましょう。
① 酸性の土は避ける
エンドウ豆は酸性の土を嫌うため、あらかじめ石灰をまいて中和させてからタネまきをします。
② 豆を育てた土は避ける
豆類を育てた土を再利用すると「連作障害(れんさくしょうがい)」が出て病気になりやすく、よい株に育ちません。豆苗を土で栽培するときは、新しい土か3~4年経過したものを用意してください。
③ タネまきの時期
関東では10月中旬~11月上旬にタネをまき、冬を越して5月頃に収穫のピークを迎えます。寒冷地では春にタネをまく場合もあるので、説明書に従いましょう。
④ 冬越しのサイズ
冬越しをするには、苗の高さが10~15cmまたは20cmまでの範囲が理想です。タネをまく時期が早すぎると苗が小さいまま冬になり、時期が遅すぎると高さが30cm以上に伸びて耐寒性が弱まります。
栽培の方法
豆苗を土で栽培するときは、下記を参考にしてください。
タネまきと管理
土に3cmほどの深さの穴を掘り、タネを4~5粒まいて土をかぶせます。静かに水を与えて乾燥しないように管理すると、1週間~10日ほどで発芽します。本葉が3枚くらいになったら、生育の悪い芽や混み合う部分を取り除く「間引き(まびき)」を行い、2本を残します。高さが20cmくらいになったら、支柱を立ててつるを導く「誘引(ゆういん)」を行います。
肥料は、タネをまいた約1カ月後と開花前に与え、その後は収穫が終わるまで1カ月に1回のペースで追加します。冬の間は、苗の根元にわらや落ち葉などを敷きつめる「マルチング」をほどこし、苗を霜(しも)から守りましょう。
収穫のポイント
50~60cmに生長した頃に、先端の10cmくらいを収穫すると豆苗として食べられます。その後も生長させるときは、すべて刈り取らずに残しましょう。開花後25日くらいに、サヤの中心に実の形が見えたらサヤエンドウとして収穫します。さらに、生長して実が大きくなればスナップエンドウ、サヤにシワが出ればグリーンピースが収穫できます。
なお、環境にもよりますが、パックの豆苗をカットした後に土に植え替えて、冬越しをすることも可能です。同様に間引きや誘引をしながら、豆苗の生長を観察してみてください。
【手軽で簡単】豆苗のおすすめレシピ
続いて、豆苗をおいしくいただくレシピをご紹介します。豆苗は加熱するとかさが減るため、市販の豆苗は1パックの使用をおすすめします。
食材の組み合わせや分量、味付けは、好みで自由にアレンジしてください。なお、電子レンジは機種によって加熱時間が異なるので、様子を見ながら調理しましょう。
サラダ・和え(あえ)もの
手軽に食べられるサラダや和えものは、一品プラスしたいときにも便利です。
【基本のレシピ】サラダ豆苗を食べやすい長さにカットする生で食べるときは、そのままドレッシングなどをかけるやわらかい食感にしたいときは、レンジで少しだけ加熱する
豆苗はマリネ風にもでき、ほかの野菜やベーコン、魚介、チーズなどとの組み合わせもおすすめです。ドレッシングは、イタリアンやゴマ、シーザーなどが合います。
【基本のレシピ】ゴマ和え豆苗を食べやすい長さにカットする豆苗をラップで包み、レンジで加熱する砂糖、しょう油、すりゴマと和える
そのほか、和風ではお浸しのほか、油揚げや塩昆布、ツナなどの缶詰めを使用した和えものもおすすめです。ゴマ油を使ったナムルや、ナンプラーを使ったエスニック風の味付けも合います。
スープ・鍋(なべ)もの
スープや鍋などの汁ものは、豆苗とたくさんの食材を一緒に摂取できる点がメリットです。
【基本のレシピ】豆苗の豆乳鍋豆苗などの野菜は食べやすいサイズにカットする鍋に水と豆乳を入れ、めんつゆで味付けする野菜や肉、魚、鶏団子などを入れて煮る材料がやわらかくなったら、豆苗を加えて軽く煮る
豆苗を使った汁ものは、コンソメやミルクのほか、みそ味や和風だし、中華風やエスニック風などの味付けも合います。お肉があれば、豆苗と一緒に「しゃぶしゃぶ」にするのもおすすめです。
炒め(いため)もの・レンジの料理
豆苗は、炒めものやレンジを使用したおかずにもぴったりです。
【基本のレシピ】豆苗とじゃこの炒めもの豆苗を食べやすい長さにカットするフライパンを熱してゴマ油を入れ、じゃこを炒める豆苗を加えて炒めるしょう油またはめんつゆで味付けする
炒めものは組み合わせが豊富で、食材によってはボリュームが出て見た目が華やかになります。肉を使用するときは、ショウガやニンニクなどの香味野菜を初めに炒めるとさらに風味がよく仕上がります。
【基本のレシピ】豆苗と油揚げのレンジ蒸し豆苗を食べやすい長さにカットする油揚げは湯をかけて油を抜き、食べやすい大きさにカットする耐熱皿に材料とめんつゆを入れ、ラップをかける電子レンジで加熱する
豆苗との組み合わせは、厚揚げやちくわ、カニカマなどが手軽ですが、肉や魚介類と一緒にレンジで加熱もできます。
チャーハン・めん類
カットしてすぐに使える豆苗は、チャーハンやめん類にもおすすめです。
【基本のレシピ】豆苗と卵のチャーハン豆苗を短めにカットする加熱したフライパンに油を入れ、溶いた卵を加えて軽く炒めるご飯を入れてほぐしながら炒める豆苗を加えて炒める塩、こしょう、しょう油、中華風のだしなどで味付けする
チャーハンには、しらすなどの小魚や、ちくわ、カニカマ、ひじきなどもおすすめです。
【基本のレシピ】豆苗とベーコンのパスタ鍋で湯を沸かす間に、豆苗とベーコンを短めにカットする鍋でパスタを硬めにゆでるフライパンを熱し、ベーコンを炒めて豆苗を加える生クリームとゆでたパスタを入れ、軽く沸騰させるしょう油や塩、こしょう、バターなどで味付けする
パスタも組み合わせが多彩なので、好みでお試しください。市販のパスタソースを使用すれば、さらに簡単に仕上がります。
お弁当のおすすめレシピ
最後に、お弁当のメインになるおかずを3つご紹介します。なお、前日に作ったおかずをお弁当に入れるときには、翌朝にレンジなどで再加熱して冷ました後に詰めましょう。
豆苗の肉巻き豆苗を食べやすい長さにカットする豚の薄切り肉に豆苗を置いて巻くフライパンを熱し、巻き終わりの部分を下にして焼く肉を時々転がして、全面に火が通るようにするみりんとしょう油で味付けする
肉巻きは、電子レンジで調理もできます。
豆苗入りハンバーグ玉ねぎはみじん切り、豆苗は1cm程度にカットするフライパンを熱して油を入れ、玉ねぎをしんなりするまで炒める豆苗を加えて軽く炒め、冷ますボウルにひき肉と卵、パン粉、塩、こしょう、ナツメグ、3を入れて混ぜ、成形するフライパンを熱して4を置き、両面を焼いた後にふたをして中まで火を通すお好みのソースをかける
野菜は、別々にラップをしてレンジで加熱もできます。4に豆腐やおからを加えると、ふんわりとボリュームが出ます。
豆苗とカジキのレンジ蒸し豆苗とカジキマグロを食べやすいサイズにカットする耐熱皿にゴマ油、ショウガ、オイスターソース、しょう油を入れて混ぜる1を加えてレンジで加熱する全体を混ぜてからいただく
カジキマグロに酒や塩、コショウで下味を付けてもおいしくいただけます。
栽培した豆苗は簡単レシピでいただこう
今回は、豆苗の基礎知識と栽培の方法、おすすめのレシピをご紹介しました。豆苗を自分で栽培すれば愛着がわき、一段とおいしく感じることでしょう。
豆苗は驚くほどアレンジが効く野菜なので、レシピを参考にして毎日のメニューやお弁当の一品にご利用ください。豆苗の水耕栽培に慣れたら土の栽培に挑戦し、サヤエンドウやスナップエンドウの収穫もおすすめします。
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